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いしわり歯科医院 の日記

歯の再生の記事

2011.02.06

今年初頭に、大変紛らわしいニュースが発表されました。

あたかも、もうすぐ歯が再生できると勘違いを植え付ける記事です。


以下、時事通信より

体外で培養、歯を完全再生=マウスで成功、人への応用目指す-日歯大

マウスの歯の一部を体外で培養し、完全な歯を再生することに世界で初めて成功したと、日本歯科大生命歯学部の中原貴教授と同大新潟生命歯学部の佐藤聡教授の研究チームが3日までに明らかにした。
今後、インプラントや入れ歯に代わる人の歯の再生医療として臨床応用を目指す。

中原教授らによると、生後5日のマウスの歯冠(歯の先)を、人間の歯と骨をつなぐ歯根膜の細胞を培養して作ったシート状のもので包むなどして特殊な培養液に入れた結果、1カ月でほぼ完全な形の歯が再生した。歯の根元である歯根や歯の土台となる歯槽骨、歯根膜も形成された。

条件が整えば、100%近い成功率で再生。再生した歯をマウスの前歯を抜き移植したところ、抜け落ちることなく正常に機能したという。

中原教授は「歯冠、歯根、歯周組織の全てを試験管の中で作り、歯全体を再生することが期待できる」としている。

歯の再生研究では、これまでに東京理科大などの研究チームがマウス体内での再生に成功している。(2011/01/03-14:42)


この記事の疑問点を指摘します。

「生後5日のマウスの歯冠」
これは、もうすでに出来上がっている歯冠(歯の頭)を取り出し、残りの歯の根の部分を体外で作って完成させたという話で、歯を完全再生させたわけではないのです。
記事のタイトル中の歯を完全再生が誤解を招く要因になってますね。


体外という部分が画期的なのですが、歯の根を作るのはまだ易しいほうです。
といって、私ができるわけではありませんが。

人工的に歯の頭を作るのが非常に難しいのです。
これは、臓器再生の中でも最も難しい部類に入ります。
歯冠を最初から作り上げるのは、まだまだ先の話だと思ってます。

期待しないで、歯を大切にしてください。

では、根だけ作れれば、後は差し歯にすればいいではないか?
こういう意見もあるでしょう。
しかし、根だけ作るのも難しいのです。
歯の頭が作られて、その流れで根が引き続き作られるのです。
歯の頭ができるから、歯の根もできる。
歯の根から作るのは歯の頭を作るのと同じくらい難しいのではないでしょうか。

「再生した歯をマウスの前歯を抜き移植」
もう一つ引っかかるのは、臼歯を体外で培養して、移植は前歯部に行っていることです。
マウスなどのげっ歯類の前歯は一生伸び続けるのです。つまり、ずっと歯の根を作り続けるのです。
一方、臼歯部は人間の歯と同じように、根の先まで作られればそれで終わりです。
培養して完成させた臼歯を、一生伸び続ける環境を持った前歯部に移植したのは何故でしょう。
なぜ、臼歯部に移植しなかったのか。
旧歯部への移植では良い結果が出なかったのではないでしょうか。
疑問が残ります。

やはり、あまり期待しないで歯を大切にしてください。


「人への応用目指す」
この実験で、人への応用に近いことは具体的には次のことでしょうか。

親知らずの出来上がった歯冠を取り出して、凍結保存しておく。
必要なときに、体外で培養をして歯根を完成させ、失った部分に移植する。
歯冠を培養せずに移植して体内で根まで完成させるより、短期間で歯として使えるようになる。
くらいでしょうか。 

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